上賀茂の魅力を存分に
京都最古の神社のひとつとして知られる、上賀茂神社。
正式名称は「賀茂別雷神社」ですが、古くから“上賀茂神社”あるいは“上社”の名で多くの人々に親しまれてきました。
境内はユネスコ世界遺産に登録され、本殿と権殿は国宝、その他41棟は重要文化財に指定されています。境内のどこを切り取っても、日本の伝統美と、積み重なった時間の深さが感じられます。今回は上賀茂神社ならではの魅力をピックアップしご紹介します。
立砂
上賀茂神社には、「大鳥居」「一の鳥居」「二の鳥居」「ならの鳥居」「西の鳥居」の5つの鳥居があるのをご存じでしょうか。中でも二の鳥居の前に立つと、奥に見える「細殿」と重なって、時間の層が深まるのを感じます。
そのままくぐると、細殿の手前に左右に並ぶ2つの砂山が見えてきます。
この砂山は「立砂」と呼ばれていて、上賀茂神社の北側約2kmにある神山をかたどったものだそうです。神山は1つなのに、立砂が2つ並んでいるのには理由があるのだとか。
左右対称に見える立砂ですが、よく見るとちょっとした違いがあります。
細殿を正面に見て立ったとき、左の立砂には3つ、右の立砂には2つの松葉が挿されています。この「3」と「2」の違いこそが、立砂が二つある理由とされています。
これは、万物は「陰」と「陽」の組み合わせで成り立つとする「陰陽思想」に基づくもので、左側には陽を表す奇数の「3」、右側には陰を表す偶数の「2」を配しているそうです。
また、立砂は神様を迎えるための依り代の意味も持つといわれています。つまり、目に見えないものを、この場所に降ろすための目印。
二つの立砂は、陰と陽のバランスを整えることで、細殿の前に静かな結界のような空気をつくっているのかもしれません。

ならの小川
境内には、百人一首の歌にも詠まれた、歴史ある「ならの小川」が流れています。
神山から湧き出る湧水は、東の「御手洗川」と西の「御物忌川」が手水舎のあたりで合流して、「ならの小川」へ。
橋殿から渉渓園、「ならの鳥居」のそばを通り、一の鳥居まで続いています。
ならの小川の魅力は四季を通して感じることができます。春のやわらかな空気の中で眺めたり、冬の澄んだ寒さの中を清々しく流れているのを眺めたり。
ですが、個人的に魅力を感じるのは、夏や秋の景色と一緒に見るならの小川です。
夏は新緑がいちだんと濃くなって、青々とした木々に囲まれながら流れる小川を見ているだけで、ふっと涼がとれます。小川に足をつけて遊ぶ子供たちの姿に、思わず頬が緩みます。
そして秋。紅や黄色に色づいた景色の中を流れるならの小川は、夏とはまた違う、趣のある表情を見せてくれます。川沿いを歩きながら眺めるものいいですが、ぜひ、渉渓園から見てみてください。小川の上まで紅葉がせり出し、視界には紅葉とならの小川のみ。違う世界に入ったようなそんな景色が目に飛び込んできます。
憩いの庭と神山湧水珈琲 |煎
こちらでコーヒーとやきもちを購入しました。店内に飲食スペースはないため、再び西の鳥居をくぐり、右手の道を通って「憩いの庭」へ向かいます。
周囲には木々が生い茂り、自然に包まれた空間の中で、そこだけがすっと開けたような場所になっています。
庭の中は砂利が敷き詰められ、必要以上に手を加えすぎていない分周りの緑がより引き立ちます。洗練されていながらも、自然の中に溶け込むような、どこかほっと落ち着く──そんな空気感です。
コーヒーは神山湧水で淹れているそうで、とてもマイルド。境内を歩いた身体にじんわり染みわたりました。やきもちは程よい甘さで、コーヒーとの相性も抜群。甘さが重たくないので、散策の合間でもぺろっと食べられました。
ただ休むための場所というより、世界遺産である境内の中でひと息つきながら、上賀茂神社の空気そのものを味わえる場所。境内を巡る時間を、少しだけ特別なものにしてくれます。ぜひ、参拝や境内散策の合間に立ち寄ってみてください。
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賀茂別雷神社
所在地:〒603-8047 京都府京都市北区上賀茂本山339
電話番号: 075-781-0011
参拝時間:
・二の鳥居 5:30-17:00
・楼門及び授与書 8:00-16:45
・御祈祷 受付 10:00-16:00
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神山湧水珈琲 |煎 10:00-16:00
kome
音楽、食、睡眠