禅-ミニマリズムの神髄と、時代の奥行きに触れる
今回は京都東山エリアに位置する、日本を代表する禅寺である南禅寺をご紹介いたします。南禅寺は、1291年に亀山法皇によって開創されました。以来、禅寺として人々に長く親しまれてきた空間です。日常から少し距離を置き、静けさの中で心を整える時間を過ごす。それこそが、忙しい現代に生きる私たちに必要な「贅沢なひととき」ではないでしょうか。
時代の交差-水路閣
南禅寺の境内を進むと、赤レンガのアーチが目を引く水路閣が現れます。この建物は明治時代に建設された、琵琶湖の水を京都市内へと導く疎水の一部です。禅寺の中に突如現れる西洋らしい建造物に、驚かれるかもしれません。しかしこの対比こそが、南禅寺特有の魅力なのです。日本の近代化のなかで古いものを捨てて新しいものを築くのではなく、異なる時代のものを重ね合わせていくという、独自の道を歩んできたことを象徴しています。いわゆる「温故知新」とい日本の精神を感じていただけるのではないでしょうか。
禅の美学とミニマリズム
南禅寺には「方丈庭園」という江戸時代初期の代表的枯山水庭園、 別名「如心庭」とも呼ばれる「小方丈庭園」、戒めの心を現した「六道庭」があります。方丈庭園は俗に「虎の子渡し」の庭とも呼ばれ、国の名勝に指定されています。小方丈庭園は同じく枯山水の石庭で、「心」字形に庭石が配されています。解脱した心の如く、落ち着いた雰囲気の禅庭園です。
これらから感じられる「余白」からは、「何もないこと」の美しさを学ぶことができます。現代に近づけて考えてみると、世界三大建築家のひとり、ファン・デル・ローエの建築に見られる、「レス・イズ・モア(Less is more)」(=「少ないことこそ豊かなことである」という意味)の美学に通ずると言えるでしょう。南禅寺の庭園では、このような「何も置かないことによってたくさんの物事を感じられる」という、現代のミニマリズムが求める精神性を感じることができます。
喜招邸から南禅寺へ
南禅寺の魅力は、これらが表す「静けさ」の体験にあります。京都中心部からアクセスでき、早朝や夕方など人の少ない時間帯には特に穏やかな雰囲気に包まれています。
朝に喜招邸を出発し、付近で朝食をとったあとは、地下鉄で蹴上駅まで移動。そこから15分ほど自然の中を散歩すると南禅寺に到着します。烏丸御池付近はうってかわって、歩く速度が少しだけゆっくりになるような、落ち着きのあるエリアです。
付近にはブルーボトルコーヒーのようなモダンなカフェが軒を連ね、伝統とモダンが共鳴する京都らしさも味わうことができます。
南禅寺では、喜招邸がお客様に提供している「時間の余白」や「静けさを味わう」という知的な体験を、より深く味わうことができるはずです。禅の精神性、近代建築の造形美、そして自然との調和。これらを贅沢に楽しむことができる南禅寺に、ぜひ足をお運びください。
nimo
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