机に浮かぶ季節の彩り
今回は、京都の北東部・八瀬に佇む瑠璃光院という寺院をご紹介いたします。京都の寺院の中でも光の移ろいがひときわ美しい場所で、豊かな自然の中にある、美術館のように美しい建築を楽しむことができます。
四季の彩りを映す、鏡の机
瑠璃光院といえば何といっても、黒漆塗りの机に反射する窓からの絶景です。鏡のごとく磨き抜かれた机は、外の庭に生い茂る木々を雄大に映し出します。机の上に置いて、水平になるようにカメラを構えると、誰でも芸術的な写真が撮れるのもうれしいポイント。秋の紅葉はもちろん、夏の青紅葉も息をのむ美しさです。
突然ですが、みなさんは旧千円札(野口英世肖像画デザイン)の裏面になにが描かれていたか、覚えていらっしゃいますでしょうか?正解は逆さ富士。瑠璃光院の鏡のような机が映し出す絶景は、縁起物とされてきた逆さ富士を彷彿とさせます。
そして、美しい景色が映るのは机だけではありません。庭園にある池にも、周りに生い茂る木々が映り込み、水面の揺らぎにあわせて光を反射しています。目立つものだけでなく、素朴な自然が生み出す“反射”の美しさにもぜひ目を向けてみてください。
景色を切り取る、額縁の窓
もちろん瑠璃光院の魅力は、反射する景色だけではありません。建物内にはいくつもの窓があり、その一つひとつがそれぞれ美しい景色を切り取っています。吸い込まれるように美しい庭園に面した大きな窓から、木々の中に佇む灯篭だけを覗いている窓、風に揺れる葉が屋根に重なる様子を切り取った小さな窓まで、その個性は様々。まるでたくさんの風景画がならんだ美術館のごとく、多様な窓が額縁の役割を果たしているように見えます。あなたのお気に入りの“風景画”を、ぜひ見付けてみてください。また、午前中の明るい時間に訪れると、柔らかく差し込む光がより一層美しさに拍車をかけるように思います。
畳を染める、灯りの紅葉
私は紅葉が始まりつつある時期に瑠璃光院に訪れました。ほの暗い室内には沢山の窓から光が差し込みとても美しかったのですが、中でも印象的なのは赤く染まった畳です。大きな窓から覗く緑の庭園の反対側に、紅葉のはじまった小さな中庭がありました。そこに差し込む太陽の光が赤い紅葉の葉を透かし、まるで赤いライトのようになって畳を照らしていました。向かい合う位置にある華やかな苔の深い緑と、控えめに赤く染まった簡素な畳の床のコントラスト。つい大きな庭園に目を奪われてしまいそうになりますが、このような小さな美しさを見つけることができれば、忘れられない体験になること間違いなしです!訪れる時間帯によっても光の差し込み方は変わるため、ぜひお気に入りの瞬間を写真におさめてみてください。
日本を味わう、光陰の字
瑠璃光院では御朱印を貰うことができます。自分で日付などを書き入れる形式で、隣に置かれた箱に「おこころざし」として料金を支払います。11月の御朱印には期間限定でモミジの柄が描かれており、特別な柄の御朱印が欲しい方は11月に訪れることをおすすめします。御朱印ひとつにも季節の流れを感じることができます。
また、入館時にいただける袋の中には写経用の用紙とペンが入れられています。2階の書院を見た後は、机に向かって写経体験をするのも素晴らしい体験になることと思います。集中して机に向かっていると、あっという間に時間が過ぎていくかのように感じるでしょう。「漢字」を通して、静かな日本の心や落ち着いた時間の進みを体験することができます。
ライターのおすすめポイント
瑠璃光院までは京都バスなどでも向かうことができますが、お勧めは叡山電車(叡電)の利用です。出町柳駅から八瀬比叡山口駅までを繋いでおり、車窓から見える景色の美しさが人気の路線です。紅葉シーズンは特に、叡電からの景色を見るために乗車する人もいるほど。また、ハイシーズンの瑠璃光院は時間指定のチケットが必要になるため、バスで向かうよりも時間が読みやすく安心です。
nimo
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